たまには、惚気たっていいじゃないですか。
自分から好きな相手ができたっていいじゃないですか。

余り定かではない当時の記憶をゆっくりと噛みしめる様に思い出しながら書いていますので、文章的におかしかったり、うっかりすると記憶違いな可能性もなきにしもあらずです。

なので色々と勘弁してください。

つい最近彼女ができた事は、このブログを読んでる諸兄は知っていると思うのですが、いつ、どう知り合って、どこでどのようにどんな風になっちまったんだよ!昔のお前はどこにいったんだよ!とか思ってるキミたちをギャフンと言わせるために俺は今日こうして明け方5時半に更新作業をしている。
ちなみに彼女とはさっきまで電話で話していた。内容は後日新鮮な鼻血と共に提供しますが、今回はこうなるそもそものきっかけっつうか、俺が離婚してさほど時間が経ってない時代にまでさかのぼります・・・

ウィヨーン(時間をさかのぼる音)

彼女と初めて話したのは21歳の確か春頃で、その前の年の年末に離婚したばかりの俺は、新卒で入社した会社も辞め、当時GMから日本のいすずへ新しく伝わった、車両製造メーカー工場向けの運用系シミュレータを、いすずの開発部署内にひっそりと結成されたバーチャルファクトリーシミュレーションチームの一員としていじくっていたせいもあり、かなりの天狗小僧でした。
そのくせ精神的には未熟もいいところで、人間を自分から好きになれるほど余裕を持ってもいませんでした。
人を信じて18歳で結婚し、20歳で人間不信になり離婚をしたあの頃、あれほど頑張って守った家庭の内側から刺されるような経験から何とか這い上がり、自分を見つめなおす鏡としてテクストサイトを公開しつつ、毎晩MSNのチャットに入り浸っていました。
当時のMSNチャットはまだ無料で、20代の部屋と言うかなり人の出入りが激しい、割りと殺伐としたチャットルームにほぼ常駐していた俺は、その殺伐とした世界で人に優しくすることで自分を慰めていました。

サイトでは日記や自分の生い立ち、感じるままに起こした文章を書き、フォントを自作し、多少の絵なども描き、それなりに閲覧者もいました。文章に至っては褒められることもままあるような、そんな時期に出会った一人の不思議な魅力を持った女性が今の彼女なのです。


当時のMSNチャットは、ログの流れが早く独特の雰囲気に包まれ、一見の方の質問など誰もまともに答たりはしませんでした。そんな部屋にきた初心者で、不思議な雰囲気を持つ女性がいました。
どんな理由だったかはっきりとは覚えていないけれど、何かを教えるような内容を1対1で話し、その際に自サイトのURIを教え、それからちょくちょくMSNメッセンジャーで会話をするようになりました。
会話を交わすうちに、自分と全く同じ価値観や目線を持ち、言葉のタイミングや感情の波を共鳴するかのように感じあえる彼女の不思議な魅力はどんどんと輝きを増し、まだ生の声すら聴いたこともない相手を次第に、確実に好きになっていく自分に気づくと、今度はそれをどう自分の中で処理していいのかわからずに悩む毎日になったのですが、自分から惚れるなんて未経験の俺は、手に入れる前から失うことを恐れ、一つの言葉にこだわりすぎて全体が見えなくなり、結果的に会う前に自分の気持ちを遠まわしにデジタル変換させて伝えたのです。

会いたい。初めて自分から惚れた女に会ってみたい。と言うか好きだから会いたくて仕方ない。
そんな気持ちをせせら笑うがごとく、当時の彼女を取り巻く環境は彼女を離してはくれません。とても多忙な日々を送っていた彼女は、俺と会える時間が無いことを俺に伝えました。当時まだ21歳の、遊んではいたけれど人間関係を深く感じることなど無かった俺には、彼女が"言い訳"として会える時間が無いことを俺に伝えたのだと思い込み、こんな想いを抱えたままそれが叶わないなら、いっそ彼女との関係を絶ってしまった方が楽だと考えるようになりました。
メッセンジャーを立ち上げるのをやめ毎日の会話が無くなり、それ以外に交わしていたメールも送らなくなり、そうやって俺は彼女と出会ったことをまるで傷口がこれ以上広がらないようにと、無かったことにするしかありませんでした。

それから約4年半経った今年の初めに、1通のメールが届きました。
昔と変わらないメールアドレスを見た瞬間に彼女だとわかり、懐かしさと共にこみ上げる何かを感じつつメールを開いてみると、去年の年末に俺の見る景色を見たくて川崎に来ていたことが書いてあったのですが、彼女が住むのは長野。とてもじゃないけど旧友の足跡をたどるには遠すぎます。
懐かしさと図りかねた真意をただしたくて、新しく使うようになっていた今のMSNメッセンジャーのアカウントで彼女のアカウントに登録要請をしたのでした。

それから約2週間後の夜に彼女がログインしました。どう表現していいかわからないけど、一番近い言葉を挙げるとするならば「興奮しすぎたため」どういう話をどちらから仕掛けたのか余り覚えていません。
もしくは、彼女の「会いたい」の一言で俺のキャパシティが限界を超えてしまったのかもしれません。
彼女と再び会話を交わすようになってから、自分の内側で確実に何かが目覚め、約4年半の空白をゆっくりと埋め始めていきました。


お盆休みでごった返す8月16日、朝一番の特急に乗ってくる彼女を迎えに東京駅に着いたのが9時過ぎ。どんな顔をして会ったらいいんだろう、どんな会話ができるんだろう、彼女は俺を見てなんて言うんだろう、どんな香りがするんだろう、手は温かいのかな、髪は柔らかいのかな。
心の中と頭の中全てが、気づかないうちに彼女を考えることで埋め尽くされているとあっという間に時間は過ぎ、到着した彼女からの電話でホームの番号を聞いて小走りでホームへと続くエスカレーターを昇ると、到着したばかりの電車からたくさんの人が降りてくるところでした。
もう一度電話をかけ、ホームのどの辺りにいるのか確認しながら歩いていると50mほど先に、初めて見る、それでいて懐かしい彼女が立っていました。

お互いを見つけ、彼女の瞳を見た瞬間に、自分の気持ちではない何かを感じたのですが、何せ会う前に振られたと思っていた「初めて自分から惚れた女性」ですから、緊張してなにをしゃべっていいかもわからず、そそくさと彼女の荷物を持ち、自宅まで続く電車へと乗り換えるために彼女を先導するのでした。

しかし、車内で窓の外を眺める彼女の後姿を見ていたら緊張もおさまり、自宅に到着すると、来る前に話していたとおり今日一日を過ごす服を俺が決めるために、彼女が鞄に入れた服を1枚ずつ取り出します。
車内で彼女も同じように緊張していたことに気づいた俺は、少しでも彼女の緊張をほぐそうと一番楽そうな、綺麗な黒のワンピースを選びました。
洋服を着替え、予定していた中華街散策をいつ頃行くのか話していると、不意に彼女の瞳から涙がこぼれ落ちました。

その瞬間、彼女の気持ちと俺の気持ちが同じものだと解り、涙を拭いて抱きしめると、彼女は「ごめんね、すぐにおさまるから。にくと離れること考えたら泣いちゃった。」と小さな声でつぶやくのでした。
今までの俺の人生でこれほどに愛しくなるようなことを言われたことなどありません。
ゆっくりと時間をかけて彼女の瞳を見て、あぁこれからキスをするんだなぁなどと考えると、段々とキスをするのが惜しくなってきました。人生で一度きりの彼女とのはじめてのキス。
これから死ぬまで寝食を共にしようとも、決して二度と交わすことのできないその瞬間。
二度とはできない経験を惜しむ気持ちと、早く彼女の肌に触れたい欲求とのアンビバレントな感情の波に飲み込まれそうになりながら、さらに彼女をきつく抱きしめると、髪の毛、ほほ、まぶたと順番にキスを繰り返しました。

一度顔を上げ彼女の顔を見ると、そこには俺の気持ちを鏡に映したような笑顔の彼女がいます。
一気に我慢できなくなり、そのままキスをしました。
何度も、何度も、頭の先までしびれるような甘い感触。温かい水の中にいるかの様に耳には自分と彼女の鼓動だけが聞こえ、目の奥では稲妻のような光が彼女以外を見えなくさせ、呼吸をするたびに全身に彼女の香りが満たされていくと、俺の頭の中に小さなひとつの言葉が生まれてきました。
次第にそれは大きくなり、ついには耐え切れずに「そろそろ中華街に行こうか」と言い自宅をでたのですが、それでも結局5分も耐えられず口から出てきたのは、俺にも思いがけない言葉です。

「帰りたくないなら一緒に暮らそうか」

彼女との関係を絶った約4年半で、だいぶ大人になれたと感じる今になって彼女と本当の意味で出会えたことを、俺が今までに出会ってきた人全てに、ありがとうの言葉と共に伝えて、今日はおしまいにしたいと思います。
約2時間の更新作業で振り返る4年半は、とても素晴らしいと感じる日々でした。
これからの人生は彼女に照らされ、また俺自身も彼女を光らせられるような、毎日を笑顔で、人にやさしく、過度に欲を持つことをせず、平和に暮らしたいと感じます。


でも「ネゲット」なんですよね。

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コメント

ムラシ 2005.08.29

すてき!
ホワホワしたー!

nic[TypeKey Profile Page] 2005.08.30

俺もホワホワしながら書いたからね。

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